火事でロンロン

pen882005-05-12


昨晩10時ごろ、近所で火事がありました。近所といっても数百メートル先ですが、今日の夕刊によるとポンプ車18台出動の3棟(お店なので同じ家)全焼でした。(住宅密集地の上、風が強くて消火に2時間かかったようです)幸いおばあちゃんがちょっと怪我しただけで、みんな逃げて無事だったけど、ぺんの家の前を消防車が何台も通り過ぎ、気分はロンロンでした。
あ、ロンロンというのはですね、ブチョ&クミクミにはお馴染みですが、こっちの方言らしくて、図書館にあった地元の方言集に「近所で火事があってロンロンした」という例文が載っているのですよ。気がせわしいというか、あわただしいというか、ドキドキするというか、なんかそれ全部混ぜた感じです。個人的には「ロンロン」なんて楽しそうで、そのギャップがちょっと気に入ってます。写真はそんなロンロン中のぺん、ってとこかしら。汗もタラリと。
何を隠そう(いや、隠してないが)、ぺんの実家の村では、生まれてこの方3回火事がありました。
1回目は小学校低学年くらいのときで、ぺん家のナナメ裏の家。怖かったその1理由。北風が強く火の粉が家の屋根にまで飛んできていて、夜なのに空が赤々としていたこと。怖かったその2理由。自分ちに燃え移るかもしれないのに、消火活動に参加してた父ちゃん(←この頃はこう呼んでいた)から「危なくなったら呼びにくるから、それまで家の中で待ってろ」と言われ、「間に合わなかったらどうするんだ?!」と子ども心に思っていたこと。怖かったその3理由。心臓の悪いじーちゃんが子ども以上に怖がって「ニトロ、ニトロ」と薬をおろおろ探していたこと。幸い家には燃え移りませんでした。
2回目は小学校高学年のとき。ぺん家の道をはさんで2件向こうのお家でした。おっちゃんの「火事だぁ〜!!」と叫ぶ声を聞いたのは、兄弟3人でトランプをしていたときでした。
3回目は結婚してから。それもぺん家から100メートルほどの家でした。
ところで、火事見舞い、近火見舞いってのはどこでもあるものなんでしょーか?このへんじゃ、どこかで火事があると真っ先に親戚等でないか確認し、近所に親戚知り合いがあろうものなら、近火見舞いと言ってお酒を持っていきます。近年ではお金で持っていくとこもありますが、まだまだお酒が根強いです。2回の火事のときは、あれよあれよと家中一升瓶であふれ返ったのをよく覚えています。当然そんなにたくさん呑めるわけもなく、ほとんどを酒屋さんに安値で引き取ってもらうのです。都会ではこんなんないだろうなー。
それに火事になった町なり村は、次の日必ず地元新聞に「謝出火御見舞」の広告を自治会名と自警団名で出します。
そういえば、今でこそもうそんなことはないだろうけど、1回目の火事のときは出火元の家のおじさんが白装束に杖ついて裸足でご近所に土下座して回るということがあって、たぶん昔はそういう風習があったのだろうけど、子ども心に「好きで火事起こしたわけでもなく、一番大変なのに、なんでそんな格好して、しかも裸足で、かわいそう」と思ってました。
火事ってやだなー。本当に大変なのは火事になった家で、共同体ならばその家がもっと救われるべきなのに、「近火御見舞」の風習だけが形骸化しちゃって、実際はそんな近くでなくても親戚知り合いへの「お付き合い忘れがないか」だけにとらわれちゃって。
今回火事に遭われたとこはご商売されてるとこで、お店も自宅もすべて失われてしまって、その気持ちたるや計り知れません。自宅が火事になって一番悲しいのは、写真なんかの昔の思い出がすべてなくなってしまうことだそうです。後からどんなにお金を積んでも取り返せないからです。お店を復帰できるよう心からお祈りしたいです。